【局所にこだわらず、体全体を俯瞰して見る】
全く同じレベルの状態であっても、人それぞれに痛みの感じ方が違います。
例えば、誰でも一度は経験したことがある、寝違い、ぎっくり腰、これらも、人によって痛みのレベルに差があります。
その理由は、痛みのあるところが、首や腰であっても、痛みを過度に増幅させる原因が別にあるからです。
寝違いの場合、寝方が悪いだけでは起こりません。寝不足、風邪の初期、肩こり、生理、ストレス、冷え、等が引き金になります。
特に、寝違いの子供さんの場合、当院では必ず体温を測るのですが、ほとんどの方に、平熱以上の熱があります。
大人の方でも、寝不足や極度の疲労からきている場合は、首の痛みで気分が悪くなり、質問中に椅子から倒れそうになる方もおられます。
顔色を診て、辛そうな場合は、早めに寝かせるようにしています。
寝違いは、単なる首の問題ではなく、全身の体調不良が絡んでいます。
ぎっくり腰に関しても、同じことが言えます。
きっかけは、物を取ろうとした時、洗面で屈んだ時、トイレから立とうとした時、など何気ない動作で、発症しますが、この場合も寝違いのように、すでに体には不調があり、それが、ぎっくり腰の引き金になったのです。
自分では気付きにくいストレスも筋肉の動きを阻害します。
よく、「借金で首が回らない」と言う表現を使いますが、これは、借金で首が回らなくなるのではなくて、借金のストレスで首が回らなくなるのです。
ストレスがあると、自律神経の交感神経を刺激します。交感神経が過敏になると痛みが増幅されます。
したがって、精神的に悩みのある方は、痛みの症状を悪化させやすいのです。
怒り、悲しみ、憎しみ、恨み、などの感情は、体の神経、筋肉、血管、血流、内臓の働き、に影響し、ダメージを与えるのです。
逆に考えれば、寝違いやぎっくり腰になったら、痛みのある個所の安静だけでなく、「今は体も心も休む時なんだと」体調を整え、心を穏やかにすれば、回復が早まると言うことです。
これは、他の病気やケガの回復にも同じことが言えます。