痛みによって、様子を見て良い痛みと早急に検査もしくは対処が必要な痛みがあります。

命にかかわる病気が絡んでいる痛みか、命にかかわらない痛みか、病名はわからくても大まかな判断の目安をお話ししたいと思います。

私は整体師なので、その経験からお話しします。

🔴痛みが、動きや体位によって変化するかどうか

動きや体位によって痛みが大きく変化する場合は、運動器(関節、筋肉、靭帯)に関わる痛みであることがほとんどです。

その場合は、すぐに命にかかわることはありません。

注意を要する痛みは、安静時も運動時も、痛み方に変化がない場合です。

「炎症がある場合」や「内科的(内臓など)要因が絡んで知る場合」がそれにあたります。

特に重度の炎症の痛みで注意が必要なのは、体温です。

もし、平熱よりも高い場合は、早い検査が必要です。

関節の痛みが強く体温が高く熱がある場合は、化膿性の炎症の疑いがあります。

内科的要因が絡んでいる強い痛みは、例えば尿路結石や心臓疾患、胃潰瘍などです。

 (例1)

当院に肩が痛いと60代の男性が来院されました。

肩関節を検査でいろんな角度に動かしても痛みがありませんでした。

筋肉系の緊張性の痛みを疑って、筋肉を検査しても異常は見当たりませんでした。

頚椎からの関連痛も疑いましたが、首にも異常がありませんでした。

首にも肩関節にも異常がなく、左肩の痛みの原因は、心臓疾患の疑いが高くなりました。

そこで、その方が日頃通っていた総合病院に行くよう指示しました。

検査結果で、心臓に異常が見つかり、その場で緊急入院、手術になりました。

(例2)

腰の痛みが治らないと、30代女性が来られました。

安静時も鈍い鈍痛がありました。

検査をしてみると特に腰には異常がありませんでした。

内科的要因を疑い、腹部の検査をするよう指示しました。

腹部の検査をしても、異常は見つかりませんでした。

本人は当院の施術を希望されたので、何回か施術しましたが改善は見られませんでした。

私は、「やはり腰は特に問題はないようです。私は内科的な異常を疑っています。病院の検査で異常がないと言われても、症状がある以上、問題がないと言うことではありません。異常が見つけられないだけかもしれません。原因が見つかるまで徹底的に検査するべきです」と説明しました。

しかし、その方は、今までの何度もの検査疲れで、病院に行かず放置されました。

その後、半年後位して、ご家族から、亡くなったと訃報を聞きました。

ご家族は、「あれほど先生に言われたのに、本人は検査疲れで諦めてしまって、悪化した時は手遅れでした」と悲しんでおられました。

医師からは、「とても見つけにくいところに病巣があったため、発見が遅れました」と言われたそうです。

🔴四肢脱力又はマヒが出た場合

物が手から落ちる。手足の力が入らない。歩けない。足や手に感覚がない。などの症状も緊急性があります。

脳や脊髄の疾患に関係しているかもしれません。

(例3)

当院に背中の背骨が痛い(安静時にも時々痛み)と10代の学生さんが親御さんと来院されました。

整形外科に1か月以上通っておられましたが改善しないということで当院に来られました。

医療機関では、受験を控えていたので、長時間の勉強の姿勢やストレスが原因かもしれないと診断されていました。

経験上、その原因であれば当院施術2~3回で改善すると思っていましたが、施術後は少し楽になるものの、痛みはぶり返し変化しませんでした。

何かおかしいと感じたので、別の整形外科での検査をすすめましたが、やはり異常は見つかりませんでした。

しばらくして、金曜日の夜8時ごろ親御さんから電話があり、

「息子が急に足に力が入らなくなり階段が上がれなくなった、どうしたらよいか。金曜日なので病院に行くのは月曜日でもよいか」

と相談を受けました。

私は今すぐに救急で病院に行くよう指示、もし、検査でまた異常がないと言われても、必ず入院させて詳しい検査をしてもらうよう伝えました。

その結果、脊椎の分かりにくい場所に腫瘍が見つかりました。

長期の入院で、受験は出来ませんでしたが、命は助かりました。

🔴高齢者のケガを甘く見ない

骨粗鬆症のある高齢者のケガには注意が必要です。

骨粗鬆症のケガは、痛みが通常よりも少なく、骨折の状態によっては、動くことが可能です。

布団で尻餅をついただけで、圧迫骨折や股関節の骨折が起こることがあります。

(例4)

80代女性の方が、タクシーに乗って当院に来られました。

尻もちをついて足の付け根が痛いという。

本人は打撲か捻挫くらいに考えたようです。

駐車場からベッドに横になるまで歩くことは可能でした。

股関節を詳しく検査した結果、骨折の可能性が高いと思われました。

すぐに、医療機関でレントゲン検査をするよう指示しました。

しかし、「骨折している可能性が高い」と伝えた瞬間、ここまで歩いてこられたにもかかわらず、まったく動けなくなりました。

仕方なく救急車を呼びました。

検査結果は股関節の骨折で高齢で骨粗しょう症もあり、すぐに手術となりました。

いくつかの例を挙げて危険な痛みとはどのような痛みかお話ししました。参考にしてみてください。