
運動というと、「汗をかくまで頑張るもの」「長時間続けなければ意味がない」と考えている方は多いのではないでしょうか。
しかし、それはスポーツをする方や、健康な方がさらに体力や筋力を向上させることを目的とした運動の考え方です。その場合は、ある程度の負荷をかけ、一定時間継続することで効果が期待できます。
一方で、「健康目的の運動」は考え方がまったく異なります。
病気やケガをしている方、運動不足で筋力や体力が低下している方、運動をする気力が湧かない方、運動を始めても長続きしない方に必要なのは、「頑張る運動」ではなく、「続けられる運動」です。
どれほど優れた運動法でも、続けられなければ健康にはつながりません。
ところが、普段運動をしていない方ほど、最初から高い目標を立ててしまう傾向があります。
その結果、途中で挫折し、
「やっぱり自分には運動は無理だ」
「自分には向いていない」
と、自信まで失ってしまうことがあります。
健康のための運動は、極端に言えば1分でも構いません。
毎日無理なく続けられ、誰でもできる内容であることが何より大切です。
時間や運動量にこだわる必要はありません。
簡単なストレッチでも、深呼吸でも、手足を動かすだけでも、体を軽く揺らすだけでも、下半身の屈伸運動でも十分です。
もちろん、明確な目標があり、意志も強く体力がある方は、より積極的に運動に取り組まれても良いでしょう。
しかし、体力に自信がない方や運動が苦手な方は、「どうすれば長く続けられるか」を第一に考えることが大切です。
また、高齢の方や持病のある方、体に故障がある方は、健康になるための運動で体を痛めてしまっては本末転倒です。無理をせず、自分の体調に合わせて行いましょう。
当院がおすすめしている運動
当院でおすすめしているのは、ウォーキングです。
インターネットで検索すると、「1日60分以上」「1日1万歩」などの目安を目にすることがあります。
しかし、健康目的であれば、そのような数値にこだわる必要はありません。
歩く時間は何分でも構いません。
風邪気味の日や関節に痛みがある日は、思い切って休んでも大丈夫です。
運動を休むべきか迷う日もあるでしょう。
気分が乗らないのが単なる気分の問題なのか、疲労なのか、それとも体調不良なのか、自分でも判断が難しいことがあります。
そんな日は、とりあえず家の外へ出てみてください。
庭に出て深呼吸をするだけでも十分です。
これなら1分もかかりません。
外の空気を吸うと、気分的な問題だけだった場合は、
「少し歩いてみようかな」
という気持ちになることがあります。
反対に、本当に体調が悪い時は、
「今日は歩くのをやめておこう」
という判断が自然にできます。
つまり、運動習慣を身につける最初の関門は、「歩くこと」ではなく、「家の外へ出ること」なのです。
病気やケガで動けない場合を除いて、ぜひ毎日試してみてください。
ただし、1か月ほど続けると体が慣れ、
「もっと歩けば、もっと健康になれるのではないか」
という欲が出てきます。
ここが二つ目の落とし穴です。
実は私自身も、調子が良くなるたびに運動量を増やし、2〜3か月後に疲れが出て挫折することを何度も繰り返してきました。
その経験から学んだのは、健康目的の運動は「頑張ること」よりも「続けること」が大切だということです。
運動量は多少いい加減でも構いません。
それよりも、「毎日続ける」という習慣を最優先にしてください。
この考え方に変えてから、私は25年以上ウォーキングを続けることができています。
冬は暖かい昼間に、夏は涼しい夜に歩いています。(以前は早朝に歩いていましたが、散歩をする人が多くなったため、現在は夜に変更しています。)
当院でも、この**「たとえ1分でも毎日続ける」という健康運動の考え方**をお伝えしています。
「気持ちが楽になった」
「運動への苦手意識がなくなった」
「無理なく続けられるようになった」
という喜びの声を、多くの方からいただいています。
健康は、一度に頑張って手に入れるものではありません。
毎日少しずつ続けることこそが、何よりも大きな健康づくりにつながるのです。






